- 課題: 新人が売場対応に迷い、システムとExcelへの二重入力も続いていた
- やったこと: 業務を数字で棚卸しし、機械任せと人の確認を分けて研修設計
- 変わったこと: 詰まっている場所を担当者自身が数字と図で指せるように
新人が売場に立つと、まずベテランを呼んだ
沖縄県でおよそ80年続く鋼材・金物の会社、A社。金物売場に新人が立つと、商品の置き場所や用途をすぐには答えられず、その場でベテランを呼ぶしかなかった。
呼ばれた側が接客に回っている間、レジも他の客対応も止まる。見積の場面でも、切る・曲げる・穴をあけるといった加工内容のたびに客先とやり取りが往復し、話が行き来する間に手戻りが生まれていた。
在庫や商品の情報は、使っている販売管理システムと手元のExcelの両方に散らばり、同じ数字を二重に打ち込む担当者もいる。棚卸しは年2回、事務と現場が数日がかりで数え直す作業だった。
業務を数字で書き出すところから始めた
研修はAIの使い方からではなく、「業務の棚卸しとフロー図化」から始まった。担当者が自分の仕事を「誰が・何をきっかけに・何を使って・何を出すか」の項目に分解し、頻度と所要時間を数字で書き込む。
作ったフロー図は実際にその仕事をしている人に見せて、違っていれば直す。この手順を踏んでから、次の回でどこが詰まっているかを一緒に探した。
「業務の洗いだしができ、どういったことができるかが目に見えて少し分かってきた」と受講者の一人は振り返る。
機械に渡す部分と、人が見る部分を分けて設計する
社内での使用にはClaude Desktop・Excelアドオン・Coworkの3つを使い分ける。個人向けと法人向けのプランを比べたうえで法人契約を結び、社内のパソコンに導入した。
まず仕入・在庫・見積・得意先のデータをExcel上で扱う方針を固めた。そのうえで、次のような流れを組んだ。
- Claude Desktopのスキル・コネクタ・利用量上限を学ぶ
- 棚卸調査表の作成業務を工程ごとに分解
- 分解した工程をスキルとして登録し実行ボタン設置へ
- Coworkは指定フォルダ内のみ読み書き、削除は必ず事前確認
定型作業を機械に渡す単元と、判断や文章をAIに任せる単元をあえて分けているのも、任せてよい部分と人が最後に見る部分を先に切り分けておくためだ。
「クロウドの可能性を強く感じました」と、経営者は話す。
詰まる場所を、数字と図で指せるようになった
- 前: 詰まっている場所を、勘と経験だけで探していた
- 後: 担当者自身が数字とフロー図で指させるようになった
棚卸しや転記の手間が実際にどれだけ減るかはこれからの回で見えてくる部分だが、これがこの会社にとっての最初の変化だ。
「研修は担当部署の2名から始まり」など部署名を出さない表現に置き換える、5か月・全20回の枠で今も続く。年内には営業・販売・工場を含む社員十数名向けの研修も控えている。
新人対応がベテラン頼みになっている、システムとExcelに同じ情報が二重に残っている、棚卸しや転記に毎回同じ手間がかかっている。そんな会社なら、A社が最初にやった「業務を数字で書き出す」ところから同じように始められる。
